ひさしぶりに読み返してみた。
フィンランドが、僕にとって初めてヨーロッパだった。(北欧ではあるが。)
なので、向かう飛行機の中では、相当わくわくしていたのを覚えている。
そういう旅の思い出もあり、この本もまた僕にとって楽しい本のひとつである。
著者が自身のヨーロッパでの体験をもとに、そこから学んだことなどがおもしろく、皮肉まじりなエピソードでまとめられている。
この本を読むと、どこかへ旅をしたくなる。
旅をするとこんなにたくさんのことに出会えるのか。という羨ましさもあり、とにかく自分も出かけたくなる。
その場所は、海外でなくても。
近くの場所でも、何かを感じよう、知ろうとする気持ちがあれば、この本のようにいろいろなことに出会えるのではないか。
また、伊丹十三の物事への考え方なども興味深い。
男の身だしなみや、作法などについて書かれた部分を読んで、当時、憧れたのを覚えている。
その中でも、好きな言葉がある。
『わたくしのコレクション』という項に出てくるこの文。
でも、自分の嫌いなものえおあれこれ考えるのはとても愉しいことです。美的感覚とは嫌悪の集積である、と誰かがいったっけ。削ぎ落としていく、みたいな考え方。
残ったもの、それが自分の美的感覚に合致したものである。
選択肢が多い時などにも使えそうな考え方が応用出来そう。
そうは言っても、『ハリーの話』で出てくる、左耳バナナ紳士が一番好きではあるが・・・。
この時代に読んでも、色褪せない彼の魅力を知れるいい本である。