2016年10月28日金曜日

村上春樹著、"女のいない男たち"。

ひさしぶりに村上春樹の短編集を読んだ。
"女のいない男たち"という、なんとも孤独感に襲われそうなタイトル。

6つのストーリーから構成されるこの短編集。
タイトル通り、全ての話が「何かしら女性との間に問題が起こってしまった男性」が登場してくる。

女と男。
こういう物語は、言うなれば彼の得意分野だし、そこが好きなファンもいるだろう。

ただ、短編ということもあり、なんとなく物語が奥深くへ進む前に、終わってしまう。
核心に迫る前に、現実に引き戻されてしまうような、もどかしさが募る。
もし、これらが長編作品として書かれていれば、と続きが気になってしまう。

そういう意味では、読み手が想像出来る余白がたくさんある作品。
寝る前にひとつのストーリーを読んで、あれやこれやと考えながら眠りにつく。
それを6日間続けるのにふさわしい作品。

個人的には『木野』という作品が好きだった。

バーやお酒の描写、
不気味な生き物の何かしら危険を予見するような描写、
日常から離れて旅に出る描写。
多分、村上春樹によって書かれたこのような描写が好きなんだと思う。